百日咳の流行と百日咳の任意予防接種について
子どもを中心に感染し激しいせきが続く「百日せき」の流行が続いていて、4月6日までの1週間に全国の医療機関から報告された患者数は722人と2週連続で過去最多を更新しました。当院でも4月に入ってから6名の方をPCR陽性で診断し、治療を行っています。当院では任意接種で小学校1年生以上の小児から成人の方までDPTワクチン(ジフテリア、百日咳、破傷風に対するワクチン)(トリビック®)を用いて、任意の追加接種を行っておりますので、ご希望の方は原則としてWEBカレンダーからご予約をお願いいたします。項目から「任意接種」を選んで備考欄へ3種混合と記載して下さい。
百日せきは特に生後6か月以下の乳児が感染すると、重症化して死亡するおそれもあります。乳児のいる家族やこれから出産を希望している家族(両親、兄弟、同居の祖父母なども)はとくに、自身が感染しないよう、また乳児に感染させないよう、予防接種を含めた感染予防対策が大切です。日本小児科学会では重症化を防ぐために、生後2か月から始まる定期接種のワクチンを速やかに接種するよう呼びかけているほか、ワクチンの効果が薄れてくる小学校入学前や11歳から12歳の子どもに任意でのワクチン接種を推奨しています。百日咳患者数の増加およびマクロライド耐性株の分離頻度増加について 日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会 2025年3月29日)外部リンク)
(小学校入学前に任意ワクチンとして三種混合ワクチンとポリオワクチン接種について(再掲)内部リンク)
11~12歳で接種する二種混合(ジフテリア、破傷風)ワクチンの代わりに3種混合(DPT:ジフテリア、百日咳、破傷風)ワクチンを接種することもできます(任意接種)。自治体によっては、二種混合ワクチンを公費負担で三種混合ワクチンに変えて行うようです。
特に接種が推奨されるのは以下の方々です。
①妊娠後期の母親(親からの移行抗体で乳児の重症化を防ぐため)
②乳児に関わる全ての人(乳児への感染源の大部分が家族であるから)
③医療関係者(特に産科病棟スタッフ、新生児・乳児をケアするスタッフ、妊娠中の母親や入院中の新生児・乳児と直接接触する医療関係者)
日本では副反応の低減を目標としたワクチンDTaPは承認されておらず、当院では取り扱っておりません。承認されているDPTワクチン(トリビック®)を接種しており、接種部位の発赤や疼痛がみられることがあります。