•一方で、冬期や夏期など年に数回程度の増悪しか見られない方は、スキンケアと保湿剤のみ継続とし、かゆみなどの症状が出た時に軟膏を塗布するリアクティブ療法を行います。
•ステロイド外用薬を十分に使用し、かゆみや皮膚の炎症が取れてからプロアクティブ療法を行う際に用いられる外用薬には以下の3種類があります。
•上記の治療を十分に行ってもかゆみのコントロールが難しい方
アドピー性皮膚炎の病態解明は目覚ましい進歩を遂げ、それに伴い、かゆみを画期的に抑える新しい作用機序の薬を使うことができるようになってきました。
①デュピクセント®(外部リンク)皮下注射薬です
デュピクセント®は、「IL-4」と「IL-13」という物質(サイトカイン※)の働きを直接抑えることで、皮膚の2型炎症反応(Th2細胞による炎症)を抑制する新しいタイプのお薬です。アトピー性皮膚炎の皮膚の内部に起きている炎症反応を抑えることによって、かゆみなどの症状や、皮疹などの皮膚症状を改善します。
投与できる方
2023年9月現在、日本でも生後6か月以降のお子さんで使用可能となりました。
投与できない方
デュピクセント®に含まれる成分に対して、アレルギー反応を起こしたことのある方
投与において注意が必要な方
•寄生虫感染のある方
•生ワクチンを接種する予定のある方
•妊婦または妊娠している可能性がある方、授乳中の方
• 高齢の方
•喘息等の他のアレルギー性疾患をお持ちの方
投与スケジュール
デュピクセント®は投与開始日のみ、2本を皮下注射します。
その後は2週間に1回、1本を皮下注射します。当院では3回目以降、自己注射を希望される患者さんへはできるだけ早期に自己注射に切り替え、最大3か月分の長期処方を行っております。
発現する可能性のある副作用とその症状について
•過敏症反応•注射部位反応•ヘルペス感染•結膜炎
デュピクセント®の薬剤費と医療費助成制度について(外部リンク)
令和6年4月現在のデュピクセント®の薬価をもとに計算しています。3割:6~69歳、70歳以上で現役並み所得者 2割:70~74歳で一般・低所得者1割:75歳以上で一般・低所得者(令和4年10月1日から、一部の方は2割負担になります)
高額療養費制度
高額療養費制度の仕組み
1ヵ月(その月の1日~末日)の間に医療機関の窓口で支払うべき額(自己負担額)が、一定の金額を超えることになった場合、自己負担額を一定額(自己負担上限額)にまでおさえることができる制度です。詳しくは加入している保険者などにご確認ください。
•以下の資材も参考にして下さい。
デュピクセント®を使用される患者さんへ(外部リンク)
②リンヴォック(外部リンク)内服薬です
リンヴォック®は、免疫をつかさどる細胞の中にある「JAKジャック」という部分に結合して、かゆみの原因となる炎症性サイトカインが過剰につくり出されることを防ぎます。皮膚の内部の炎症を抑えることで、皮膚の表面に表れる炎症やかゆみの改善が期待されます。
投与できる方 ステロイド外用薬による治療でなかなか症状が治まらない中等度~重度のアトピー性皮膚炎の方。12歳以上かつ30㎏以上の小児にも適応があります。
投与できない方
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある方
重篤な感染症(敗血症等)の方
活動性結核の方
重度の肝機能障害を有する方
好中球数が1000/mm3未満の方
リンパ球数が500/mm3未満の方
ヘモグロビン値が8g/dL 未満の方
妊婦又は妊娠している可能性のある方
投与前検査
過去にリンヴォック®に含まれる成分でアレルギー反応を経験したことがないか
•感染症/結核/B型肝炎ウイルスに感染していないか
•静脈血栓塞栓症のリスクがないか
•腸管憩室の有無
•間質性肺炎の経験
•血液検査で異常がないか
•肝臓や腎臓の障害がないか
•悪性腫瘍の経験
•妊婦または妊娠している可能性
•授乳の有無
•予防接種の予定
導入前のみでなく、定期的な血液検査と胸部X線検査が必要です。
服薬方法 1日1回毎日服用します。服用時間に制限はありません。
服薬中に注意すべき症状(外部リンク)以下のような症状が出たら医師にご相談ください。
ニキビはよく見られる症状です。治療薬がありますので主治医に相談してください。
薬剤費の目安
医療保険制度/医療費のシュミレーション(外部リンク)はこちらをご覧ください。
•以下の資材もご確認ください
アトピー性皮膚炎でリンヴォック®を服用される思春期(12~17歳)の患者さんとご家族の方へ(外部リンク)
アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021 (公益社団法人日本皮膚科学会 一般社団法人日本アレルギー学会 アトピー性皮膚炎診療ガイドライン作成委員会)(外部リンク)