乳幼児期に発症する魚卵アレルギー(いくら・たらこ)の特徴と経過
🟠(魚卵アレルギー:いくら・たらこ)
🍣魚卵(いくら・たらこ等)は、乳幼児でも食べる機会が増えており、魚卵に対する即時型アレルギー(IgE介在型)がみられることがあります。
1)いくら・たらこアレルギーは治りやすいか
🐠いくら(サケ卵)・たらこ(スケトウダラ卵)アレルギーの「耐性獲得率(治る割合)」を示す大規模な長期追跡データは限られています。
ただし、症例報告や小規模研究からは、魚卵アレルギーは自然寛解(耐性獲得)が多いタイプとは言いにくく、持続する例が少なくないことが示唆されています
2)症状は(軽いもの~重いものまで)
🐟魚卵アレルギーの症状は、皮膚症状(じんましん等)や、口の中・のどの違和感、腹痛など軽症から、アナフィラキシーまで幅があります。
また、魚卵だけで強い反応が出る一方で、魚(魚肉)は食べられる(=魚卵単独のアレルギー)というケースも報告されています
3)なぜ起こりやすいのか(たんぱく質の性質)
🟠魚卵(特にいくら)の主要アレルゲンとして、ビテロゲニン由来のたんぱく質(β’コンポーネントなど)が知られています。
こうしたたんぱく質はIgEに結びつきやすく、さらに消化管内での分解を受けにくく血中へ移行しうることが示されており、少量でも反応が出やすい要因の一つと考えられています
4)いくらとたらこアレルギーは併存しやすいか
🔗魚卵アレルギーでは、複数の魚卵に反応することがあります。
特にサケ科魚卵(いくら等)では、魚卵同士でIgEの交差反応が起こりうることが示されています。
ただし、交差反応のパターンは個々で異なるため、「全員がすべての魚卵に反応する」とは限りません。
5)シシャモ・イワシの卵なども「全部セット除去」が必要か
🧩魚卵アレルギーがあるからといって「すべての魚卵を一律にセット除去」する根拠は十分ではありません。
どこまで除去するかは、症状の出方と検査(特異的IgEなど)を踏まえて個別に判断し、必要最小限の除去に留める考え方が現実的です
また、魚卵アレルギーでも魚肉は摂取可能な例が多いため、魚肉まで一律に除去する必要は通常ありません(個別判断が前提です)。
🔴魚卵の「摂取時期」の考え方
魚卵に限らず、初めて食べる場合は、体調のよい日、少量から、日中(受診しやすい時間)に、が基本です。
文献
Mäkinen-Kiljunen S, et al. Severe Reactions From Roe Without Concomitant Fish Allergy. Ann Allergy Asthma Immunol. 2003.
Shimizu Y, et al. Major Allergen and Its IgE Cross-Reactivity Among Salmonid Fish Roe Allergy. J Agric Food Chem. 2009.
Kyosaka I, et al. Digestibility… and Migration to Blood of β’-Component (Onk K 5), a Major Salmon Roe IgE-binding Protein. Food Chemistry. 2019.
Makita E, et al. Increased Ratio of Pollock Roe-specific IgE… Oral Food Challenge. Allergology International. 2018.
Sampson HA, et al. Food Allergy: A Practice Parameter Update-2014. J Allergy Clin Immunol. 2014.
Burks AW, et al. NIAID-sponsored 2010 Guidelines… Pediatrics. 2011.
