インフルエンザワクチン:不活化ワクチンと点鼻型生ワクチン(FluMist®)のよくある質問

🌈インフルルエンザ不活化ワクチンについて

小児におけるインフルエンザHAワクチンの有効性や安全性について(クリックして確認)

🔄インフルルエンザHAワクチンの接種回数と間隔、接種時期

接種回数の目安

• 13歳以上65歳未満の方、65歳以上の高齢者には、通常1回接種
• 免疫が著しく抑制されている方などは、医師の判断で2回接種となる場合があります。


2回接種の場合の接種間隔
• 早期産児も歴年齢で接種します。
• 13歳未満の子どもは、通常2〜4週間の間隔で2回接種します。
• できれば3〜4週間あけると免疫獲得に効果的です。
• 主な副反応は注射部位の腫れや発熱であり、重篤な副反応は報告されていません。
• 乳幼児はインフルエンザによる重症化リスクが高いため、接種は重症化予防に有効です。
• 生後6カ月未満の乳児には接種できません。妊婦さんへの接種により出生児にも免疫効果が期待できます。
• 熱性けいれんのあるお子さんも接種可能です

インフルエンザHAワクチンの2回接種における間隔と接種時期について (クリックして確認)

•米国小児科学会(AAP)では、インフルエンザHAワクチンを初めて接種する小児に対し、1回目から4週間以上の間隔を空けて2回目を接種することを推奨しています。
なお、**4日間の猶予期間(グレースピリオド)**が認められており、最短で25日後(3週+4日)に接種しても有効とみなされます

• 日本の推奨と実際の運用

• 日本では、2〜4週間隔での2回接種が推奨されており、2週間後の接種も広く行われており容認されています。
ただし、AAPは免疫応答を最適化するために最低4週間の間隔を推奨しており、これは免疫プライミングとブースト効果を最大化し、抗体産生と臨床的防御効果を高めるためです。
• 日本国内の複数の臨床研究では、2〜4週間隔での接種が有効であり、2週間後の接種でもワクチン効果が低下するという証拠はありません。
• この推奨は、日本の免疫原性データと実際の有効性に基づいており、2週間後の接種は日本では妥当とされています。
• また、日本でも「最遅の接種時期」は明確に定められておらず、流行前に接種完了することが最優先とされています。

1. Recommendations for Prevention and Control of Influenza in Children, 2023-2024. Pediatrics. 2023;152(4):e2023063772. doi:10.1542/peds.2023-063772. 
2. Recommendations for Prevention and Control of Influenza in Children, 2024-2025: Policy Statement. Pediatrics. 2024;154(4):e2024068507. doi:10.1542/peds.2024-068507.
Practice Guideline New Research
3. Effectiveness of Inactivated Influenza Vaccine in Children by Vaccine Dose, 2013-18. Shinjoh M, Sugaya N, Furuichi M, et al.
Vaccine. 2019;37(30):4047-4054. doi:10.1016/j.vaccine.2019.05.090.
4. Effectiveness of Influenza Vaccination Among Children in Satellite Cities of a Metropolitan Area in Tokyo, Japan During the 2014/­2015-2018/­2019 Season. Matsuda A, Asayama K, Obara T, Yagi N, Ohkubo T.
The Tohoku Journal of Experimental Medicine. 2022;258(1):69-78. doi:10.1620/tjem.2022.J057.
5. Influenza Vaccination in Japanese Children, 2024/­25: Effectiveness of Inactivated Vaccine and Limited Use of Newly Introduced Live-Attenuated Vaccine. Shinjoh M, Tamura K, Yamaguchi Y, et al.Vaccine. 2025;61:127429. doi:10.1016/j.vaccine.2025.127429.
6.2023–2024年 小児におけるインフルエンザ予防と対策に関する推奨
Pediatrics. 2023;152(4):e2023063772. doi:10.1542/peds.2023-063772.
7.2024–2025年 小児におけるインフルエンザ予防と対策に関する政策声明
Pediatrics. 2024;154(4):e2024068507. doi:10.1542/peds.2024-068507.
8.2013〜2018年における小児のインフルエンザワクチン接種回数別の有効性
Shinjoh M, Sugaya N, Furuichi M, et al.
Vaccine. 2019;37(30):4047–4054. doi:10.1016/j.vaccine.2019.05.090.
9.東京都近郊の衛星都市における小児のインフルエンザワクチンの有効性(2014/15〜2018/19)
Matsuda A, Asayama K, Obara T, et al.
Tohoku J Exp Med. 2022;258(1):69–78. doi:10.1620/tjem.2022.J057.
10.2024/25年 日本の小児におけるインフルエンザワクチンの有効性と新規導入された生ワクチンの限定使用
Shinjoh M, Tamura K, Yamaguchi Y, et al.
Vaccine. 2025;61:127429. doi:10.1016/j.vaccine.2025.127429.

Q:ワクチン接種間隔・同時接種について

A: 2020年10月以降、インフルエンザHAワクチンと他のワクチンの接種間隔の制限がなくなりました。新型コロナワクチンも2022年7月から同様で、同時接種が可能です。

文献(クリックして確認)


インフルエンザワクチン接種後の効果発現時期と持続期間について

🟠 効果の発現時期
接種後約2週間で免疫効果が現れます。抗体が十分なレベルに達するのは接種後14日頃です。

🟠 効果のピーク
接種後2~4週間で効果のピークに達します。

🟠 効果の持続期間
一般的に5~6か月間は有効性が維持されます。ただし、ウイルスの型や年齢によって効果の減衰速度は異なります。

🟠 型による違い
特にA型(H3N2)は減衰が早く、月ごとに約7%ずつ効果が低下する傾向があります。

🟠 個人差
抗体応答には個人差があり、約半数は弱い反応しか示さない一方、強く持続するケースもあります。

🟠 接種のタイミング
最適な予防効果を得るには、流行開始前(例年10月末まで)に接種を完了することが推奨されています。

この内容は、米国小児科学会(AAP)および予防接種諮問委員会(ACIP)の最新ガイドラインに基づいています。

文献(クリックして確認)

1. Recommendations for Prevention and Control of Influenza in Children, 2023-2024. Pediatrics. 2023;152(4):e2023063773. doi:10.1542/peds.2023-063773.
2. Prevention and Control of Seasonal Influenza With Vaccines: Recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices - United States, 2024-25 Influenza Season. Grohskopf LA, Ferdinands JM, Blanton LH, Broder KR, Loehr J.
MMWR. Recommendations and Reports : Morbidity and Mortality Weekly Report. Recommendations and Reports. 2024;73(5):1-25. doi:10.15585/mmwr.rr7305a1.
3. High-Resolution Antibody Dynamics Following Influenza Vaccination Reveal Predominantly Weak Responses as Well as Infrequent but Durable Immunity Across the 2014-2022 Seasons. Lane A, Quach HQ, Ovsyannikova IG, et al.
Vaccine. 2025;:127677. doi:10.1016/j.vaccine.2025.127677.
4. Intraseason Waning of Influenza Vaccine Protection: Evidence From the US Influenza Vaccine Effectiveness Network, 2011-12 Through 2014-15. Ferdinands JM, Fry AM, Reynolds S, et al.
Clinical Infectious Diseases : An Official Publication of the Infectious Diseases Society of America. 2017;64(5):544-550. doi:10.1093/cid/ciw816.


Q: インフルエンザHAワクチン接種後の副反応と対処方法について

A: インフルエンザHAワクチン接種後には、接種部位の赤みや腫れ、痛みなどの反応がみられることがあります。これらは通常2〜3日で自然におさまります。まれに、発熱や倦怠感、頭痛、寒気、発疹、じんましんなどの全身症状が出ることもあります。
• 接種部位が熱を持ったり腫れが強い場合は、冷たいタオルなどで冷やしてください。硬くしこりのように残ることもありますが、時間とともに軽快します。
• 発熱がある場合は、冷却や解熱剤(アセトアミノフェンなど)を使用して様子を見ましょう。いつもと違う症状が出た場合は、早めにご相談ください。

以下のような状態の方は、接種を控えることが推奨されています

• 37.5℃以上の発熱がある
• 重い急性の病気にかかっている
• 過去にワクチンでアナフィラキシーを起こしたことがある
• 定期接種後2日以内に発熱や全身性の発疹が出た(※任意接種は除く)

ただし、接種部位の赤みや腫れ、軽い発熱などがあった方でも、再接種は可能です。医師と相談のうえ、接種を検討してください。

痛みを軽減するための工夫

接種時の痛みや不安をやわらげるため、以下のような方法があります。

・不安を高めるような言葉を避ける
・気分が悪くなったり、失神したことがある方は横になって接種する
皮下深く、60〜90度の角度で行うことで、腫れなどの反応が軽くなる可能性があります。筋肉内接種の方が皮下接種よりも反応が少ないとされています

副反応が疑われる場合の報告について(クリックして確認)

・インフルエンザHAワクチン接種後に副反応が疑われる場合、医療機関では国の定める基準に従って報告を行っています。報告内容は厚生労働省の専門部会で評価され、公開されています。
2023/2024シーズンでは、約5,400万回の接種のうち、医療機関からの報告は57例(うち重篤例34例、死亡例5例)でした。非常にまれなケースですが、万が一の際には適切な対応が取られています
ご不安な点がある場合は、接種前後に医師や看護師へ遠慮なくご相談ください。安全で安心な接種のために、皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

文献(クリックして確認)

妊娠中のインフルエンザワクチン接種について(クリックして確認)

🟠インフルエンザワクチン(不活化ワクチン)

妊娠中のすべての週数で接種可能です。
米国予防接種諮問委員会(ACIP)は、妊娠初期・中期・後期のいずれでも接種を推奨しており、母体と赤ちゃんのインフルエンザによる合併症を予防するために重要とされています

🟠三種混合(Tdap)ワクチン(破傷風・ジフテリア・百日咳)

推奨される接種時期は妊娠27〜36週の間です。
この期間の早め(27〜30週頃)に接種することで、胎盤を通じて赤ちゃんに抗体がより多く移行し、出生後の百日咳予防効果が高まるとされています。ただし、必要がある場合は妊娠中いつでも接種可能です。
なぜこの時期に接種するのか?

これらの推奨は、母体の免疫応答を最大化し、胎児への抗体移行を促進することで、生後すぐの赤ちゃんに受動免疫を与えるという科学的根拠に基づいています。
赤ちゃんが直接ワクチンを受けられるまでの間、最も感染リスクが高い時期に守るための重要な予防策です。

アレルギーを有する方へのインフルエンザHAワクチン接種について

🟠 卵の食物アレルギー・気管支喘息の方も、原則接種可能です
🟠 インフルエンザHAワクチンには**鶏卵由来成分が極めて微量(数ng/mL)**しか含まれておらず、卵アレルギーや気管支喘息などのアレルギーを有する方でも、安全に接種できるケースがほとんどです。

国内・米国の対応(予防接種ガイドラインより)(クリックして確認)

• 接種不適当者:
ワクチン成分によるアナフィラキシーの既往がある方

• 接種要注意者:
鶏卵・鶏肉など鶏由来成分にアレルギーのある方
喘息などのアレルギー疾患がコントロール不良の場合

• 接種時の留意点:
接種前に体調を整え、問診でアレルギー歴を確認
接種後30分間の院内観察と緊急対応体制の整備が推奨されます

• 喘息患者への接種:
感染症による喘息悪化を防ぐため、インフルエンザワクチン接種は有用とされており、ステロイド治療中でも多くの場合接種可能です(詳細は医師にご相談ください)

米国の対応(ACIP勧告より)

• 卵アレルギーの有無にかかわらず、インフルエンザワクチン接種は推奨されています
• 追加の安全対策は不要とされ、通常の接種と同様に対応可能
接種後は15分間の観察が推奨されています(失神などのリスク軽減のため)

文献

1)予防接種ガイドライン等検討委員会: 予防接種ガイドライン2024年度版. 公益財団法人予防接種リサーチセンター. 2024.
2)Greenhawt M, et al.: Ann Allergy Asthma Immunol. 120(1): 49-52, 2018.
3)Nagao M, et al.: J Allergy Clin Immunol. 137(3): 861-867, 2016.
4)「喘息予防・管理ガイドライン2021」作成委員: 喘息予防・管理ガイドライン2021. 一般社団法人日本アレルギー学会 喘息ガイドライン専門部会 監修. 協和企画. 2021.
5)CDC: MMWR Recomm Rep. 60(RR-2): 1-60, 2011.
6)Vasileiou E, et al. : Clin Infect Dis. 65(8): 1388-1395, 2017.
7)GINA : Global strategy for asthma management and prevention. 2020.
8)Committee on Infectious Diseases: Recommendations for Prevention and Control of Influenza in children. 2019-2020. Pediatrics.144(4): e20192478, 2019.

妊婦・授乳婦・妊娠希望者へのインフルエンザHAワクチン接種について

接種の意義とメリット

• 妊婦はインフルエンザに感染すると重症化しやすく、心肺機能への負担や胎児への影響が懸念されます。
• 不活化インフルエンザHAワクチンは妊娠全期間を通じて安全性が高く、世界的に接種が推奨されています。
• 妊婦が接種することで、胎盤を介して胎児に抗体が移行し、生後6か月までの乳児を守る効果が期待されます。
• 授乳婦が接種することで、母体の感染予防が乳児への伝播防止につながると考えられています。
不妊治療中でも接種可能であり、妊娠成立後の胎児への影響はないとされています。

接種時期の目安

• ワクチンの効果は接種後約2週間から約5か月間持続します。
• 日本のインフルエンザ流行は1月〜3月が中心のため、接種は10月〜12月中旬が理想的です。

安全性と注意点

• 副反応としての発熱や腫れ、倦怠感などの症状は、妊娠の有無にかかわらず同じ頻度で発生しています。
• 流産や早産、奇形といったリスクが増加したとの報告はありません。
• 授乳中の方が接種しても、母乳を通じて乳児に悪影響が及ぶことはありません。
• たとえ乳児に卵アレルギーがあっても、授乳している母親への接種は原則として問題ありません
• 母親自身が卵アレルギーで鶏卵の摂取を控えている場合は、接種の可否を慎重に判断します。

保存剤(チメロサール)について

• 一部のワクチンには防腐剤としてチメロサール(エチル水銀)がごく微量含まれていますが、胎児への影響はないと考えられており、自閉症との関連性も否定されています。
• 妊婦へのワクチン接種では、可能であれば防腐剤無添加の製剤を選ぶことが望ましいとされています。

Q:帯状疱疹・おたふくかぜなどのウイルス性疾患罹患後のインフルエンザHAワクチンの接種時期、効果、注意点について。また、家族や周囲の人が罹患した場合の対応は

ウイルス性疾患罹患後のインフルエンザ不活化ワクチン接種接種時期の目安 

• 軽症の場合
→ 症状回復後すぐに接種可能

• 中等症の場合
→ 治癒後約2週間程度あける

• 免疫低下する疾患(例:麻しん)
→ 治癒後4週間以降が目安

• 帯状疱疹の場合
→ 急性期を過ぎ回復傾向なら接種可能

家族・周囲の人が罹患した場合の対応

• 特におたふくかぜ後の無菌性髄膜炎や風しん後の血小板減少性紫斑病など合併症を誤解されないよう事前説明が重要
• 疾患の種類や流行状況に応じて判断
• 潜伏期間中の接種は副反応と誤認されやすいため慎重に行う

インフルエンザ罹患後のワクチン接種について

• ワクチン接種による予防は引き続き有効である
• 治癒後1〜2週間の間隔をあけて接種することが望ましい
• 流行期であっても体調回復後の早期接種が望ましい
• インフルエンザは複数の型があり、一度罹患しても別の型に再感染する可能性がある

 米国CDCの見解

• 回復期や潜伏期間中の接種でワクチン効果の低下や副反応増加は認められていない
• 軽症の急性疾患や回復期、抗菌薬治療中でも接種禁忌ではない
• 入院中でも中等度以下の疾患であれば接種推奨


Q:呼吸器、循環器、腎疾患、糖尿病などの基礎疾患を有する方や周術期にインフルエンザHAワクチンを接種する際に注意すべき点を教えてください。(クリックして確認)

A: 1  基礎疾患を有する方はインフルエンザに罹患すると重症化しやすいためワクチン接種が強く推奨されます。
2  接種不適当者でなければおおむね安全に接種可能ですが基礎疾患や治療薬の影響と副反応の鑑別に注意が必要です。
3  慢性呼吸器疾患の患者では重篤な副反応はまれで喘息発作や間質性肺炎のリスクを踏まえて接種後の観察が必要です。
4  心血管疾患の患者は注射部位の痛みなどによる血圧変動や血管迷走神経反射に注意し抗凝固薬服用者は接種部位の出血にも配慮します。
5  インフルエンザワクチン接種は心血管イベントのリスクを低減するという報告もあります。
6  腎疾患患者特に透析患者は感染リスクや死亡率が高いため積極的な接種が推奨されます。
7  肝疾患患者は病状が安定していれば接種可能で血小板減少があれば注射部位出血に注意します。
8  自己免疫疾患患者や免疫抑制状態の患者は免疫応答がやや低下しますが安全性は報告されています。
9  脳血管障害や中枢神経疾患の患者はワクチン副反応との鑑別に注意が必要でてんかん患者は病状安定時に接種し発作予防策の説明が重要です。
10  糖尿病患者はやや効果が低いものの有効で入院や死亡リスクの低減に寄与し毎年の接種が推奨されます。
11  周術期の接種は症状判別が難しいため原則避けますが個別に検討し臓器移植患者は状態に応じて接種時期を決定します。
12  COVID-19罹患後は症状が軽快し感染性がなくなれば接種可能で同時接種も問題ありません。
13  医療機関外での接種は安全管理が整っていれば自宅等でも可能で免疫低下患者は十分な問診と観察が重要です。
14  これらを踏まえ適切な管理のもとで基礎疾患患者のインフルエンザHAワクチン接種は重要な感染予防策となります。

文献(クリックして確認)

Q: 健康な65歳未満の成人でのインフルエンザ予報接種の効果を教えてください(クリックして確認)

🧬インフルエンザ経鼻生ワクチンフルミスト®について

フルミスト®(生ワクチン:LAIV)の接種対象者と禁忌について

※特に喘息、喘鳴の既往、アレルギー性鼻炎、食物アレルギーのある小児に関する注意点

接種対象者:

• 年齢が2歳以上〜18歳まで(19歳未満)
• 健康状態は重度の喘息や免疫不全がない方
• 妊娠していない方(妊婦や妊娠の可能性がある方は対象外)

接種に注意が必要な方

• 鼻炎や鼻づまりが強い方(効果が減弱する可能性あり)
• ゼラチンアレルギーがある方
• 免疫抑制治療中または免疫不全のある方
• 妊娠中または妊娠の可能性がある方
• 重度の喘息で最近発作を起こした方
• アスピリン服用中の川崎病患者
• 重度の免疫不全者と日常的に接する方
• 米国ではフルミスト®は、2歳以上49歳以下の健康な非妊娠者に対して承認されておりますが、日本では2歳以上18歳以下(19歳未満)の方です

禁忌:

以下の条件に該当する小児にはフルミスト®を接種できません

• 2歳未満の小児(入院や喘鳴のリスクが高いため)
• 2〜4歳で過去12か月以内に喘鳴や喘息の既往がある小児
• 重度の喘息または現在喘鳴がある小児

• 過去のインフルエンザワクチンまたはフルミストの成分に対してアナフィラキシーなどの重度のアレルギー反応を起こしたことがある小児
• ゼラチンに対するアレルギーがある小児(年齢に応じて不活化ワクチンまたは組換えワクチンを使用)
• 妊娠中の小児(妊娠判明時)
• 重度の免疫不全者の近親者や介護者
• 最近インフルエンザ抗ウイルス薬を服用した小児(一定期間は接種不可)

注意事項:


• 5歳以上の喘息や慢性疾患(肺・心臓・腎臓・肝臓・神経・血液・代謝疾患など)を持つ小児には、フルミスト®よりも不活化インフルエンザワクチンの方が一般的に推奨されます。
• ギラン・バレー症候群の既往がある場合(前回のインフルエンザワクチン接種から6週間以内)は、すべてのインフルエンザワクチンに注意が必要です。
• 中等度〜重度の急性疾患(COVID-19含む)がある場合は、症状が改善するまで接種を延期します。軽度の症状は禁忌ではありません。
アレルギー性鼻炎や軽度の上気道症状がある小児は、フルミスト®接種による有害事象のリスクは高くなく、禁忌ではありません。
• 食物アレルギー(卵アレルギーを含む)がある小児も、フルミスト®を含むすべてのインフルエンザワクチンを安全に接種できます。
• 重度の卵アレルギー(アナフィラキシー)のある場合は医療管理下での接種が推奨されますが、全体としてリスクは高くありません。

🔺抗インフルエンザ薬服用前後のフルミスト接種について

• インフルエンザの生ワクチン型ワクチン(フルミスト)を接種する際、抗インフルエンザ薬の服用歴によって接種を控える期間が異なります。

• オセルタミビル(タミフル)やザナミビル(リレンザ)を使った場合は最終投与から48時間
ペラミビル(ラピアクタ)では5日間、
バロキサビル マルボキシル(ゾフルーザ)では17日間あける必要があります。

• これらの期間内に接種すると、抗ウイルス薬がワクチンウイルスの増殖を妨げ、ワクチンの効果が弱まる恐れがあるためです。
腎機能障害などで薬の排出が遅れる場合は、さらに間隔を延長することが推奨されます。

• 接種前に抗ウイルス薬を服用している場合は、上記の期間を十分にあけてからフルミスト®を受けてください。

• 接種後2週間以内に抗ウイルス薬を使用した場合も効果が十分に得られない可能性があるため、不活化インフルエンザワクチン(注射タイプ)での再接種が推奨されます。

• フルミスト®は生ワクチンで、体内でウイルスが増殖することで免疫を獲得しますが、抗ウイルス薬が増殖を妨げるため、服用期間中や接種後2週間以内の抗ウイルス薬使用はワクチン効果を低減させる可能性があります。

• 不活化ワクチンはウイルスの増殖を伴わないため抗ウイルス薬の影響を受けず、確実な免疫効果が期待できます。再接種のタイミングは医師と相談し、体調や薬の状況に応じて決めてください。

※これらは薬の体内での作用時間や排泄速度に基づいて設定されています。腎機能障害などがある場合は期間が長くなることがあります。

• 接種後インフルエンザ迅速診断(抗原検出法)で陽性となる期間について

フルミスト®接種後、インフルエンザ迅速診断(抗原検出法)で陽性となる可能性がある期間は、主に接種後7日以内です。 健康成人を対象とした研究では、フルミスト接種者の約50%が接種後7日以内にDFA(直接蛍光抗体法)で、約14%がEIA(酵素免疫測定法)で陽性となりましたが、12日以降に陽性となった例は認められていません

• ワクチン由来ウイルスの排出は主に接種後1週間以内ですが、健常者や妊婦・乳幼児への感染リスクは極めて低く、通常の生活・登園に制限はありません。重度免疫不全者との接触のみ注意が必要です。この点は米国の最新ガイドライン(FDA承認、ACIP/AAP勧告)に基づくものです

文献(クリックして確認)