お子さんの肥満改善のための栄養・生活習慣ガイド
保護者の方へ
このガイドは、6歳から18歳までのお子さんの健康的な体重管理をサポートするための実践的な情報をまとめたものです。
お子さんの肥満改善では、短期間で急に体重を落とすことよりも、成長に必要な栄養を確保しながら、生活習慣を少しずつ整えることが大切です。
極端な食事制限や自己流のダイエットは、成長への影響、栄養不足、リバウンド、摂食障害につながることがあります。
肥満は、本人の努力だけで決まるものではありません。体質、生活リズム、睡眠、運動量、ストレス、家庭にある食べ物や飲み物、スクリーンタイムなど、さまざまな要因が関係します。
ご家庭全体で少しずつ環境を整えることが、長く続けるための助けになります。
詳しい食事内容や献立例については、別記事「お子さんの肥満改善の食事ガイド:たんぱく質・かさ増し食材・献立の工夫」もご覧ください。
🌱 基本的な考え方
お子さんの肥満改善には、家族全体での取り組みが大切です。
保護者の方がよいお手本となり、家庭環境を少しずつ整えることで、お子さんは自然と健康的な習慣を身につけやすくなります。
大切なのは、完璧を目指すことではありません。
まずは、できそうなことを1つ選び、1〜2週間続けてみることから始めましょう。
🍽 食事の基本ルール
🥤 1. 飲み物の見直し
肥満改善で最初に見直したいのは、ジュースやスポーツドリンクなどの甘い飲み物です。
甘い飲み物は、飲みやすい一方で糖分を多く含み、満腹感につながりにくい特徴があります。食事を少し減らしても、甘い飲み物を毎日飲んでいると、体重はなかなか改善しません。
日常的には控えたい飲み物
🔸ジュース
🔸炭酸飲料
🔸スポーツドリンク
🔸乳酸菌飲料
🔸加糖カフェオレ
🔸加糖ミルクティー
🔸エナジードリンク
🔸砂糖入りの紅茶・コーヒー
おすすめの飲み物
🔸水
🔸無糖のお茶
🔸麦茶
🔸無糖の炭酸水
牛乳は飲んでもよいですが、飲みすぎないように量を決めましょう。
スポーツドリンクは「運動時によい飲み物」という印象がありますが、日常の水分補給として毎日飲むものではありません。大量に汗をかく運動時や、医師から指示がある場合などに限って使いましょう。
目標
砂糖入り飲料は、日常的にはできるだけ減らしましょう。まずは「家に常備しない」「水やお茶に変える」ことから始めるのがおすすめです。
🥦 2. 食べるもの
食事では、「食べない」ことよりも「内容を整える」ことが大切です。
増やしたいもの
🔸野菜
🔸きのこ
🔸海藻
🔸果物
🔸全粒穀物
🔸玄米
🔸全粒粉パン
🔸オートミール
🔸食物繊維が豊富な食品
🔸脂肪の少ないたんぱく質
🔸鶏肉
🔸魚
🔸卵
🔸豆腐
🔸納豆
🔸大豆
果物は、ジュースではなく、そのものを食べるようにしましょう。
減らしたいもの
🔸ファストフード
🔸加工食品
🔸スナック菓子
🔸菓子パン
🔸揚げ物
🔸高脂肪・高塩分の食品
🔸砂糖を多く含む食品
「絶対に食べてはいけない」と考えると続きにくくなります。日常的に食べるものと、たまに楽しむものを分けて考えましょう。
🍚 3. 食べ方のルール
時間を決める
🔸朝食、昼食、夕食をできるだけ規則正しく食べる
🔸学校から帰った後や夕食後のだらだら食べを減らす
🔸家族で一緒に食事をする時間を作る
量をコントロールする
🔸最初から大盛りにしない
🔸適切な量をお皿に盛る
🔸大皿から何度も取り分けない
🔸ゆっくり食べる
🔸野菜や汁物を先に食べる
🔸おかわりをする場合は、まず野菜や汁物を選ぶ
環境を整える
🔸家にジュースを置かない
🔸お菓子やスナック菓子を大袋で買い置きしない
🔸テレビやスマートフォンを見ながら食べない
🔸外食やコンビニを利用する日を決める
🔸食事中は、体重や体型の話よりも、楽しく食べる雰囲気を大切にする
🌷 4. 気持ちと食事
お子さんが、退屈、ストレス、寂しさ、疲れなどをきっかけに食べていることもあります。
その場合、「食べないようにする」だけではうまくいかないことがあります。
食べ物以外で気持ちを落ち着かせる方法を、一緒に探してみましょう。
たとえば、次のような方法が役立つことがあります。
🔸散歩をする
🔸音楽を聴く
🔸入浴する
🔸家族と話す
🔸好きな遊びをする
🔸早めに寝る
🚶♀️ 運動と活動
小児・思春期では、1日60分程度の身体活動がすすめられています。
ただし、最初から毎日しっかり運動をしなければならないわけではありません。
歩く、階段を使う、自転車に乗る、家の手伝いをする、外で遊ぶなども身体活動に含まれます。
おすすめの活動
🔸早歩き
🔸自転車
🔸水泳
🔸球技
🔸ダンス
🔸なわとび
🔸階段を使う
🔸家の手伝い
🔸犬の散歩
🔸ストレッチ
体重が多いお子さんでは、急に走ると膝や足に負担がかかることがあります。最初は、ウォーキング、自転車、水泳など、足腰への負担が少ない活動から始めるとよい場合があります。
膝や足が痛い場合は、無理に走らず相談してください。
最初は20分程度から始めて、慣れてきたら少しずつ時間を増やしていきましょう。
📱 座っている時間を減らす
テレビ、スマホ、ゲーム、動画の時間が長いと、体を動かす時間が減ったり、食事中や寝る前の生活リズムが乱れやすくなります。
特に、動画を見ながらお菓子を食べる、寝る直前までスマホを見る、ゲームで就寝時間が遅くなる、という習慣は体重管理に影響しやすくなります。
家庭で決めたいルール
🔸食事中はスマホを見ない
🔸寝る1時間前からスマホ・ゲームをやめる
🔸寝室にスマホを持ち込まない
🔸宿題、入浴、明日の準備を終えてから使う
🔸休日も使いすぎないよう時間を決める
🔸動画を見ながらお菓子を食べない
スクリーンフリーにしたい時間
🔸食事中
🔸寝る前1時間
🔸朝の登校準備中
🔸勉強中
🔸家族で会話する時間
スクリーンフリーにしたい場所
🔸寝室
🔸食卓
🔸勉強机
💤 睡眠
十分な睡眠は、体重管理にも大切です。
睡眠不足は、食欲の増加、夜食、日中の活動量低下につながります。寝る時間が遅くなると、朝起きにくくなり、朝食を抜きやすくなったり、日中に体を動かす時間が減ったりします。
年齢別の推奨睡眠時間
| 年齢 | 推奨される睡眠時間 |
|---|---|
| 6〜12歳 | 9〜12時間 |
| 13〜18歳 | 8〜10時間 |
睡眠のためにできる工夫
🔸休日も起きる時間を大きくずらさない
🔸夜食を習慣にしない
🔸寝る直前に甘い飲み物を飲まない
🔸朝日を浴びる
🔸朝食を食べる
🔸毎日できるだけ同じくらいの時間に寝る
スマホやゲームのルールについては、「座っている時間を減らす」の項目も参考にしてください。
👨👩👧👦 保護者の役割
1. お手本になる
🔸健康的な食事を一緒に食べる
🔸一緒に体を動かす
🔸水やお茶を選ぶ
🔸夜更かしを減らす
2. 家庭環境を整える
🔸健康的な食品を用意する
🔸ジュースやスナック菓子の買い置きを減らす
🔸食事や睡眠のリズムを整える
🔸家族で食事を作る時間を作る
3. サポートする
🔸小さな成功を見つける
🔸体重や見た目ではなく、健康的な行動に注目する
🔸続けられたことを認める
🔸いじめやからかいがないか気にかける
声かけの例
🔸「体が元気になる食べ方にしよう」
🔸「夜よく眠れるように整えよう」
🔸「まずはジュースを減らしてみよう」
🔸「家族でお茶や水に変えてみよう」
🔸「少し体を動かす時間を作ろう」
4. 目標を一緒に立てる
🔸お子さんと一緒に実現可能な目標を決める
🔸1週間に1つの小さな変化から始める
🔸達成できたら次の目標に進む
🔢 年齢別の1日の推奨カロリー摂取量
以下は一般的な目安です。必要量は、年齢、性別、身長、活動量、成長の時期によって大きく異なります。
男子
| 年齢 | 推奨カロリー摂取量の目安 |
|---|---|
| 6〜8歳 | 1,400〜2,000 kcal |
| 9〜13歳 | 1,600〜2,600 kcal |
| 14〜18歳 | 2,000〜3,200 kcal |
女子
| 年齢 | 推奨カロリー摂取量の目安 |
|---|---|
| 6〜8歳 | 1,200〜1,800 kcal |
| 9〜13歳 | 1,400〜2,200 kcal |
| 14〜18歳 | 1,800〜2,400 kcal |
注意
肥満改善のために食事量を調整する場合でも、成長期のお子さんに極端なカロリー制限はおすすめできません。必要に応じて、医師や栄養士と相談しながら進めましょう。
🥗 栄養バランスの目安
成長期のお子さんでは、カロリーだけでなく栄養バランスも大切です。
| 栄養素 | 目安 |
|---|---|
| たんぱく質 | 成長や筋肉・骨を支えるために毎食とる |
| 脂質 | とりすぎに注意し、揚げ物や脂の多い食品を毎日にしない |
| 炭水化物 | 完全に抜かず、量と質を整える |
| 食物繊維 | 野菜、きのこ、海藻、豆類、全粒穀物からとる |
主食を完全に抜くよりも、甘い飲み物やお菓子、夜食、揚げ物を見直す方が、続けやすく安全です。
詳しい食事内容、たんぱく質のとり方、白滝・こんにゃく・きのこ・海藻・豆腐を使った献立の工夫については、別記事をご覧ください。
⚠️ 避けたいこと
🔸極端なカロリー制限
🔸流行のダイエット
🔸栄養バランスの偏った食事
🔸食事を抜くこと
🔸体重や見た目だけに注目すること
🔸自己流のサプリメントや置き換えダイエットに頼ること
🩺 より注意が必要な場合
次のような様子がある場合は、体重だけでなく、睡眠、血圧、血液検査、関節の痛み、こころの状態なども含めて確認が必要です。
🔸急に体重が増えた
🔸いびきが強い
🔸日中とても眠い
🔸血圧が高い
🔸肝機能異常を指摘された
🔸脂質異常を指摘された
🔸血糖異常を指摘された
🔸膝や足が痛い
🔸月経不順がある
🔸食事制限が強くなっている
🔸体重や体型へのこだわりが強い
🔸夜食・過食が続く
🔸気分の落ち込みがある
🔸学校に行きづらい
🔸運動を嫌がるほど体がつらい
気になることがあれば、診察時にご相談ください。
🌈 大切なこと
🔸焦らない
健康的な体重改善には時間がかかります。
🔸家庭環境を少しずつ整える
お子さんが無理なく続けられるように、家族でできる工夫から始めていきましょう。
🔸小さな変化を積み重ねる
一度にすべてを変えようとせず、続けやすいことから始めましょう。
🔸継続する
一時的なダイエットではなく、長く続けられる習慣を作ることが大切です。
🔸前向きに考える
体重だけでなく、よく眠れる、疲れにくい、動きやすい、朝起きやすいなど、生活の変化にも目を向けましょう。
🗓 最初の1週間で始められること
一度にすべてを変えようとすると、続けることが難しくなります。
まずは、次の中から1つか2つ選んで始めてみましょう。
🔸砂糖入り飲料を水やお茶に変える
🔸家族で1日1回は一緒に食事をする
🔸毎日20分、一緒に歩く
🔸スクリーンタイムを30分減らす
🔸家からお菓子を1種類減らす
🔸夜食を1週間やめてみる
🔸寝る時間を15分早める
小さな変化を積み重ねることが大切です。
🌸 最後に
小さな一歩から始めましょう。
お子さんの肥満改善は、短期間で結果を出すものではありません。
ご家庭全体で、無理なく続けられる環境を少しずつ整えていくことが大切です。
参考文献
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